SONY VAIO PCG-861/BPの電源トラブルの例2

(この件につきましては私個人および「Sony」は、一切の保障および補償をしていません。特に「Sony」に対しての問い合わせなどは迷惑になるので、しないでください。)

平成14年(2002年)7月10日

1.何故だ!また電源が...

順調に動作していたVAIO君、なぜか最近(ここ1ヶ月ほど)挙動不審。

反応が鈍い・突然止まる(いわゆる「フリーズ!」ですね。ALT+CTRL+DELも効きません)。

調べてみると...

原因は、よくわかりません。(まっ、「Wいnどws9x/me」ではよくあることさ。)

そろそろ、再インストールどきかも...と思っていたら

また、電源が−「それも使用中であるにもかかわらず。」−勝手に切れてしまい、あまつさえ...

再投入ができません。(ちょっと「プンプン!」)

 

2.気分は、アマ(甘?)チュア修理屋

考えられる原因は、

(電源アダプターは、バッテリーが補助するし、現象が固定するはずですので除外します。)

一般に、CPUの熱暴走が起こるのは、CPUのFAN(CPUクーラー)が死んだときですが、電源が切れる直前まで回っていましたからこれはありません。

M/Bの故障は、あるかもしれません。特にノート型では、(このVAIO君を含めて)本体内部に相当な熱がこもるので、電源周りのコンデンサーなどは劣化しやすいと思われます。

バッテリーの寿命?(交換なら1万円程度か)

なんにせよ、修理見積りは15万円だろうし自分で対処できる範囲は限られています。

やっぱり、「バックアップ電池から」ということですね。

(前回感じたことですが、バックアップ電池の寿命が3年程度なのではないかと思います。)

今回の修理予算は、特に大きな買い物はないだろうとタカをくくって\1,000以内を目指します。

(あとで、この見通しが甘々だったことを痛感します。)

 

3.なんか変?

翌日、作業部屋(物置ともいう)で分解調査を決行します。

今回は、多少気楽にカバーを開けられました。

早速、電池の電圧チェックです。やっぱり予想通り2.7V程になっていました。

(なぜ?−電源入れて使っている状態でも充電されないの?・今までどうやって動いてたの?)

まあ、細かいことは気にせず(それでいいのか?)前回同様、充電を試みます。

今回は、9V角型電池に10kΩの抵抗を通しました。

6時間後、再度電圧を測りましたが、電圧3.2V程と思ったより上がりません。更に6時間(計12時間)経過後の電圧も3.6V程度で、おそらく電池の寿命と判断しました。

(ここまでで故障後、2日過ぎました。)

 

4.VAIO君修理MISSION(ミッション)に突入!

「電池を買ってくれば楽勝!」のはずだったのですが...

この電池は、「産業用」で「一般向け」には販売されていません。(これを調べるのに手間取った。)

つまり、普通には入手不能なわけです。

(このタイプは、機器に組み込んで使用するためのもので、取り扱いの難しい部分もあって一般向けには販売されません。)

では、「入手は不可能か?」というと...

いくつか方法はあります。

など(あとは「ヒ・ミ・ツ・」)

ここでは、いずれも予算的に難しそう(\1,000以内はあきらめろよ!)なので、代用品を探すことにします。

バックアップ電池は、本体に挿入できるサイズで、安定した電圧とわずかな電流が取れれば十分だと考え(本当か?)これに見合った市販品を探します。(できれば100円ショップで手に入るもの)

サイズ・形状・電気的特性の関係で、ほかに代用できそうなものは無し...(おいおい、どーするの)

1次電池は充電ができないため、あまり使いたくありません。

(やっぱり、ジャンク品見つけるしかないのかな。当たりがでるまでいくら使うのかな。)

でもしかたがないので、容量の大きいCR2032が使えるのか調べることにします。

(ここまでで故障後、6日過ぎました)

 

5.暗中模索

電圧は、CR2032を2枚直列に接続すれば間に合いそうです。

問題は、電流消費で

と、考えていても先には進みませんからテストを行うことにします。

(この時点で修理予算\1,000以内はあきらめました。が、「可能な限り低価格」は目指します。)

テストといっても実際に電池(CR2032)をつないで使ってみますから、それなりの電池ホルダーを作成し接続してみます。

電池ホルダーは、ペットボトルで作ることにしました。(材料がタダで手に入り加工しやすそうです。)

庭木の剪定用はさみを使って(100円ショップで見つけました。)ペットボトルを切り出し適当に整形します。

あとは、アルミホイルを折りたたんで接点としビニールコードで線を引き出します。

元のニッケル水素電池についているコネクタを線付きで切り取り電池につないだビニールコードへはんだづけします。(コネクタの配線の色は、電池の電圧から、赤がプラス(+)、黒がマイナス(−)でした。)

 

6.一筋の光明?

いきなり、CR2032は使わずアルカリ単3電池4本直列(約6.4Vの予定)で、「起動するか」確認します。

(これで、起動に失敗するならCR2032はあきらめざるおえません。)

アルカリ単3電池4本と「電池ホルダー」・「蓑虫クリップ付きコード」などをホームセンターで揃え実験です。

先に作ったCR2032用電池ホルダーのコネクタを本体に差し込み、接続部分に「蓑虫クリップ」をかませてアルカリ単3電池をつなぎます。

結果は...良好です。うまく起動しました。(ここでは、BIOSが初期化されていたらしく起動時に強制的にBIOSセットアップ画面になりました。)

しかし、電源が入っている間も電池を外すと電源が切れます。どうやら、M/B上でバックアップ電池を検出して充放電を制御しているようです。

 

7.ラビリンス(迷宮)

次に、CR2032を使って見ましょう。単3電池をとり外しCR2032を2個直列にホルダーへ入れてみます。

電源スイッチを入れると...ぜんぜんダメです。起動しません。

もう一度、単3電池をつないでやると...これはOK!起動します。

さらに、CR2032に換えて電源オン...やっぱりダメ(なぜだー!!)

単3電池をつないで電圧・電流を調べると、電圧は6.13Vで、電流は18mAにも達していました。

つぎに、CR2032を2個つないで電流・電圧を測ると...

電圧2.6V・電流16mAとなっています。これでは、CR2032で起動しません。ダメダメです。

CR2032は、あきらめるしかないのか...と思って外付けの電池ホルダーを考えていたのですが、妙なことに気づきもう一度、実験を行うことにしました。

気づいた点とは、元の電池の容量です。いくら2次電池であっても容量15mAhでは、何時間も持たず空っぽになるはずですが...

つまり、自分の測定ミスか?と思ったわけですがやっぱり電流は14mA流れています。(変ですね?電流が減ってます。)

 

8.栄光への脱出

(はは〜ん!)やっとわかりました。→(早く気づけよ。)

VAIO PCG861/BPは、M/B上にバックアップ電池の検出回路と更に見えないバックアップ電池(おそらく電気2重層コンデンサーか大容量電解コンデンサーのようなもの:これを「隠れ電池:HiddenCell」と呼ぼう)を持っているのです。

この「隠れ電池」に充電するためバックアップ電池から相当の電流が流れたのだと考えられます。

となれば、この「隠れ電池」が充電された後の安定した電流が本当に必要なバックアップ電流ということになります。

ここまでくれば、あとは実験で確かめるだけです。・・・・結果のページへ→VAIO PCG-861/BP

(ここまでで故障後、8日過ぎました。)

 

9.フィールドテスト(実地検査)へ

実際に必要な電流が、約0.1mAということがわかったので、やっと、CR2032を使ったテストに移れます。

「隠れ電池」には、十分な充電が行われているはずなのでCR2032を取り付けてカバーを閉めます。

元のように組み立てた後で、「確認のため」と「隠し電池の充電」をかねて再度起動して6時間程度放置します。

この後は、普通に使えばよいわけですが、予定では、約6ヶ月(早くて3ヶ月)後に電池交換となるはずです。(200mAh÷0.1mA=2000h=約2.7ヶ月)

うまくいけばよいのですが...(ダメならなんとしても2次電池を入手せざるをえません。)

なんにしてもVAIO君はバッテリー駆動よりもコンセントからアダプターで電気を入れるほうがよいようです。

「バックアップ電池の電圧測定風景」



 

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